劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

――まず最初に、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の話を聞いた時、どう思われましたか? その上で、この『劇場版』で目指したことは何ですか?

最初は、「どうしよう。何か描くことができるのか?」と思いました。その上で、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという女性の生涯を描き切ること、それを目指すべきではないかと至りました。
そこからさらに、脚本の吉田玲子さんとは、人間としてのギルベルトも描きたい、というお話をさせていただきました。

――先月公開された、プロデューサーの石立監督に対するコメントを受けていかがですか?

そんな感じのお話されるだろうなと思いました(笑)。

――TVシリーズから新たに持ち込んだ要素や試みはございますか?

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』から試みていることではありますが、TVシリーズの16:9とは違う横に広い2.31:1という映画ならではのアスペクト比への挑戦でしょうか。

――声優の皆さんにはどのようなディレクションをされましたか?

石川由依さん(ヴァイオレット・エヴァーガーデン役)と、浪川大輔さん(ギルベルト・ブーゲンビリア役)には「お二人の中にあるギルベルトとヴァイオレット、それが正解なんだと思います。」とお伝えして、全幅の信頼のもと、演じていただきました。

――監督が最もこだわったこと、大変だったところはありますか?

まさに「妥協しないこと」にこだわりました。大変だったのは、「レイアウト」という行程のチェックが大変でした。

――特にどんなところを観て欲しいですか?

世界に息づく人々、生活、自然、全てです。
全部が届いて、もし受け取っていただけたら幸せだな。と思っております。
原作やTVアニメを観ていない人、『劇場版』で初めてヴァイオレットに触れる方々にも、届くといいなと思います。そういった方々にも楽しめるように作れていると良いなと思います。

――キャラクターデザインの高瀬亜貴子さんが生み出すキャラクターたちの魅力も見所かと思います。監督はどう感じていますか?

彼女のデザインの魅力は、「ディティールへの執念」でしょうか。
デザイン単体で見ますと、ヴァイオレットは「うなじ」が良いなと思います。

――『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズは日本国内のみならず、海外からも非常に人気が高い作品ですが、その要因は何だと思われますか。

「愛してる」というありきたりですが普遍的なテーマを、先入観なしで向き合おうとする主人公のヴァイオレット。その真っ白な彼女を通して、観た方が赤ちゃんだった頃の自分から、今に至るまで感じてきた「愛」ということへの追体験、それに付随する感情、思考を思い起こされるからでしょうか。そのことに国籍は関係ないと思いますので。

――最後に、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を待ち望んでいる全世界の皆様へ、メッセージをお願いします。

今、京都アニメーションとしてできることを最大限、努めて制作しております。
ヴァイオレットの「あいしてる」の帰結点を皆さんに観ていただくことができたら、ヴァイオレットの「あいしてる」が皆さんの、皆さんへの「あいしてる」になることができたら。

本当に幸せだな。と思います。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』監督 石立太一

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
2020年9月18日 劇場公開