「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」オーケストラ・コンサート2021
オフィシャルレポート
2021年8月14日-15日の2日間、LINE CUBE SHIBUYAにて、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のオーケストラコンサートが開催された。また8月15日夜公演は、LIVE配信も行われ、自宅からでも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の素敵な音楽と映像を楽しむことができた。今回は、その夜公演の模様をお届けしていく。
拍手の中、ライデンシャフトリヒ交響楽団の皆さんと、指揮者の吉田行地さんがステージに登壇。さらに、ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川由依さん、TVアニメ版のオープニング主題歌歌唱を務めたTRUEさんが登壇すると、『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』で流れた時計の音と轍の映像で、映画同様に時が遡っていく様子が演出される。石川さんが「お初にお目にかかります。お客様がお望みなら、どこでも駆けつけます 。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。」と生台詞を披露しオーケストラコンサートの幕が上がった。
1曲目はTVアニメ版のオープニング主題歌『Sincerely』を、壮大なオーケストラの音色と共に、TRUEさんが丁寧に歌い上げた。
TVアニメ版の映像に合わせて、劇伴メドレーが演奏され、さらに挿入歌『Letter』を劇中内の歌姫イルマの映像に寄り添うようにTRUEさんが披露。そして石川さんの「いいのでしょうか。わたしは自動手記人形でいて、いいのでしょうか。生きて…生きていて、いいのでしょうか……。」という生台詞の後、結城アイラさんが登壇。第9話スペシャルエンディング主題歌『Believe in...』をしっとりと歌い上げた。
ヴァイオレットが歩んだ道を再び辿るように、劇伴メドレーが演奏されると、続いては、外伝のイザベラの映像と共に、『Debutante Waltz』、『Violet and Isabella』、『A Bond Between Sisters』が披露された。『Debutante Waltz』では踊るイザベラとヴァイオレットの映像が演奏と重なり、生の舞台を見るかのように演出された。そして茅原実里さんが登壇し、外伝主題歌『エイミー』を感情豊かに歌唱した。歌唱が終わるとテイラーの映像が映し出され、彼女の唱える魔法の言葉「エイミー」で外伝の演奏は締めくくられた。
トークコーナーでは、石川さんがMCを務め、音楽を担当したEvanCallさんに本作の音楽について話を聞いた。セットリストを作ったEvanさんが、どんな想いで選曲をされたかという質問には、「いろんな曲を入れたかったが、特に重要だったり、印象深い曲、またオーケストラとして合う楽曲をポイントにして選んだ」と答えた。また好きなキャラクターについては、「ホッジンズが好き、お父さんっぽいところ、心が温かく、優しさで溢れているところが好きですね。」とコメントした。
劇場版の音楽について、TVシリーズの楽曲がアレンジされて流れていることを聞かれると、「劇場版のメインテーマなど新曲もある中で、TVシリーズや外伝で使っている印象的なテーマは使わないともったいないと思った。使うことでTVシリーズを思い出してもらいたかった」と話した。
TVシリーズと劇場版とで使っている楽器が違うという話題では、「TVシリーズでは弦と木管を使った。劇場版では、よりエモーショナルに金管を使った。ヴァイオレットがTVシリーズよりも成長しているので、金管を使うことで大人っぽさを表現している」とコメントした。最後に、音楽プロデューサーの斎藤滋さんからEvanさんに、「このオーケストラコンサートを世界中で公演したい。その際に協力してくださいますか?」という質問にEvanさんは「もちろんです!」と答えた。また石立太一監督から観客の皆さんへ向けて、サプライズのメッセージが到着していた。石立監督からは、「私が何より嬉しく、感謝しているのは皆様がヴァイオレット・エヴァーガーデンという女性を愛してくださったことです。ヴァイオレットがその生涯をかけて向き合った“愛してる”という想い、その想いに向き合う彼女の不器用だけどひたむきで真っ直ぐな姿勢や気持ちがきっと皆様の心根に通じたのではないかと思っております。皆様の中の誰かを慈しむ心、何かを大切に想う心、その心をヴァイオレットに向けてくださって本当にありがとうございます。」と、心からのメッセージが届けられた。
後半はデイジーの台詞と共に、劇場版のメインモチーフの楽曲『The Legacy of Violet Evergarden』の演奏が開始。さらに『On That Fateful Night』、『Another Voice Calls Out』が演奏された。石川さんの生台詞「忘れる、は難しいです。生きている限り忘れることはできません。」の後には、『A Young Boy’s Hope』、『Beyond These Waves』『After All These Years』が披露された。
そして石川さんの生台詞「それは…、推察すると、少佐は会えないのではなく、会いたくない…とおっしゃっているのでしょうか…どうしてですか…?わたしは…わたしは…!」の後に、『The Hardships of Gilbert Bougainvillea』、『Tears in the Rain』、『A Young Boy’s Last Wish』、『Live on for Me』が演奏され、ピアノやフルート、ハープなどの音色に魅了された。続いて、石川さんの生台詞「親愛なるギルベルト少佐。これが少佐に宛てて書く、最後の手紙です。」の後に、『Violet’s Final Letter』が披露された。ヴァイオレットが最後に書いたギルベルトへの手紙に込めた、「感謝」という言葉を音楽で体現した楽曲が、観客の心に滲み渡るようだった。
石川さんの生台詞で、ヴァイオレットの最後の手紙が朗読された。「少佐が愛してると言ってくださったことが…わたしの生きて行く道しるべになりました。そして、愛してるを知ったから…愛してるを伝えたいと思いました。少佐、ありがとうございました。今まで本当にありがとうございました。」そして、ヴァイオレットの想いを繋ぐように茅原さんが登壇し『みちしるべ』を熱唱した。さらにEvanさんが指揮台に登壇。トークコーナーでEvanさんが好きだと言っていた「ヴァイオレット不在の中でC.H郵便社の仲間たちが花火を見るシーン」の楽曲を指揮。劇場版の映像と共に、壮大な楽曲、劇場版のメインテーマ『Echo Through Eternity』が演奏された。
最後は、ヴァイオレットの歩き去って行く映像と共にデイジーの台詞が流れ、TRUEさんが登壇。劇場版の主題歌『Will』そして、グランドエンディング『未来の人へ』を熱唱すると、会場は大きな拍手に包まれた。
アンコール後は、結城さんが登壇し、コンサートでは恒例となったアンコール曲『Violet Snow』を優しく、情感たっぷりに歌い上げると、観客からさらに大きな拍手が贈られた。全員が登壇して一礼した後、最後は石川さんが「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。」と披露し、劇場版の締めくくりと同じ、ヴァイオレットのオートグラフを表現するピアノの音色と共に、オーケストラコンサートの幕が閉じた。