Violet Evergarden

WORLD TOUR

第3回京アニ&Doファン感謝イベント 私たちは、いま!! ―2年ぶりのお祭りです― 響け!京都から世界へ編

2017.10.21(Sat.)-10.22(Sun.)

@ ロームシアター京都 ROHM Theatre Kyoto

登壇日時
2017.10.21(Sat.) 14:00-
登壇者

石立太一監督

石川由依

TRUE

内容
第1話・第2話 ジャパンプレミア
C3 AFA SINGAPORE 2017

2017.11.24(Fri.)-11.26(Sun.)

@Suntec Convention Center, Singapore

内容
第1話 アジアプレミア
EVENT REPORT

イベントレポート

ワールドツアー石立太一監督インタビュー

ドイツ・マンハイムAnimagiC 2017 編

――アメリカ・ロサンゼルスにて開催された「AnimeExpo」に続いて、ドイツ・マンハイムで開催された「AnimagiC」において、2回目となるEUプレミア上映会が行われました。ドイツのアニメファンが集まるイベント会場はいかがでしたか?

「AnimeExpo」は家族連れが多くて驚いたという話をしましたが、「AnimagiC」は10代から20代の若いお客さんが多くて、ほとんど日本のコミックマーケットと似た雰囲気のイベントでした。イベント全体のお客さんの様子を見ていると、時間に縛られず気になるところがあったらのぞいてみようくらいの気楽な感じで楽しまれているようでしたね。

『ヴァイオレット』の上映会は、450人くらいが入れるシアターで1日1回の上映を二日間行いました。初日は上映時間が午前中だったこともあってか、ぽつぽつと人が入って来て上映開始時間までに満席になるくらいだったのですが、2日目はシアターが開場する前に待機列ができるほど大勢の方が集まってくださいました。あくまで推測ですが多少は1日目の評判もあったのかなと。
お客さんの中には、2年前の京都アニメーションのイベントで販売されたショップバックを持っている方や、小鳥遊六花(『中二病でも恋がしたい!』)のコスプレをした気合いの入ったファンもいらっしゃいました(笑)。ヨーロッパにも京都アニメーションやアニメーションDoのファンの方がいてくださって嬉しい限りです。

――上映会後はお客さんからの質問に答えるコーナーや、色紙の抽選会が行われました。ファンの方々とどのようなやりとりをされましたか?

質疑応答は、本作が日本国内でのテレビ放送の他に世界配信も予定しているためか、わりとビジネス寄りな質問が多かったですね。あと、「AnimeExpo」でも同じ質問を受けたのですが、こちらでも「この作品を作るのにどれだけの時間がかかりましたか?」と聞かれました。
海外の方は、制作に長い年月をかけている方が作品としての価値が高いと感じるようです。例えば「作品の構想期間は10年です」とか言うと「おお~! すご~い!」みたいな。日本では短い制作期間で良い作品を作った方がすごいという感覚が強いですけれど、海外ではその逆なところが面白いなと思いました。この作品でいえば、他のTVアニメ作品とだいたい同じような制作期間で作っていると思います。

――作品の内容については、どのような質問がありましたか?

実はドキッとするような鋭い質問がありました。その答えは「AnimagiC」の上映会に来てくださった方々と「ここだけの秘密」と断って、お話したことなので残念ながらこのインタビューでは言えません(笑)。

――監督が一枚一枚描き下ろした直筆のサイン入り色紙を、会場のお客さんにプレゼントされたそうですね。

はい。色紙に名前のサインだけというのも寂しいので、お客さんに喜んでもらえるものにしたいと思って、一枚一枚の色紙にヴァイオレットの鉛筆画を描かせていただきました。色紙の抽選は、僕とお客さんとのジャンケン大会で決めたのですが、何度かジャンケンをして勝ち残った10人の方と決勝のジャンケンをしたら、僕がお客さん全員に勝ってしまうというハプニングが起こりまして(笑)。その後、仕切り直しでぴったり当選人数分だけが残る結果になって、「このジャンケン大会、ヤマとオチが完璧じゃないか!」とわれながら感心してしまいました(笑)。
僕からお客さんに色紙をお渡しする時に、皆さんがとても緊張されていたので、ドイツはシャイな方が多いのかなと。僕からするとドイツの方もアメリカの方も、ぱっと見た印象ではほとんど違いがないように見えるんですけれど、やっぱり国によって気質が違うんだなと実感しました。

――ドイツも訪れたのは初めてだと思うのですが、いかがでしたか?

以前、別の作品で「AnimagiC」に招待されていた西屋太志さんからも聞いていた通り、ビールはとても美味しかったのですが(笑)、もちろんそれだけではなく「AnimagiC」のパーティで日本語のメニューが用意されていたりと、ホスピタリティの高さにも感激しました。
早朝に宿泊していたホテルの周りを散歩していた時も、街の清掃員らしき人が道端のゴミを回収していて、こうして街の景観が保たれているのかと思うと、ますます「ドイツ、いい国だな……」と思えました。また、「AnimagiC」に持って行けるように頑張ります!

――マンハイムの他に訪れた街はありますか?

通訳の方と一緒に、ハイデルベルグを訪れました。旧市街を散策したのですが、1500年代の古い建造物がそこらじゅうに残っていて、もちろん修繕や改築は行っていると思いますけれど、今でもその建物を使っているんですよ。合理的で無駄のない石造りの建物は、まさに質実剛健という言葉がぴったりでした。
街全体が歴史の塊のようで、本当にかっこよかったです。天井や扉は日本の建物とは比べ物にならないほどのスケールで、本作の美術設定を作る時にもそこは意識してはいるのですが、実物を見ると圧倒されますね。『ヴァイオレット』の世界観にもヨーロッパ圏の風土を取り入れているのでとても参考になりました。

――では、『ヴァイオレット』の世界観についてもおうかがい致します。作品の世界観にもヨーロッパ圏の風土を取り入れているというお話がありましたが、この作品ではどのようにして世界観を作り上げていますか?

『ヴァイオレット』の世界観はファンタジーですが、見たことも聞いたこともないような架空の異世界ではなく、基本的には現実世界の歴史をなぞらえて、ここに暮らしている人たちの生活や営みが自然と感じられるような世界を作ろうとしています。ヨーロッパ圏の風土をベースにしつつ、原作小説に度々登場する東洋の文化や調度品などオリエンタルな要素も取り入れています。この世界には、豆腐もありますから。アニメでも食事シーンでは箸を使わせたりして、ヨーロッパの文化だけではない絵になっていると思います。
こうした、世界観を作り上げる上で軸になっているのが電気です。この世界には、電気は存在しているのですがインフラ化はされておらず、一般市民はガス灯やアルコールランプを使って生活しています。
電気が普及していないということは、当然ながらメールはありませんし、電話も政府施設や一部の大企業で使われ始めた程度で、一般の人々にとっての通信手段は基本的に手紙なんです。手紙の価値が重んじられている世界だからこそ、代筆を生業とする自動手記人形という職業も成立しています。

――世界観を絵として表現する上で、背景が大きな役割を担っていますが、美術背景のスタッフとはどのようなやりとりをされていますか?

やはり美術設定を作るのは大変ですね……。いつでも海外へロケーションハンティングに行けるわけではないので、資料とイマジネーションを頼りに設定を作るしかないので、美術背景のスタッフは試行錯誤しています。
これまでわれわれが制作してきた作品は、現代の日本を舞台にしたものが多かったので、ファンタジーの世界を一から構築するというのは新たなチャレンジではあります。観てくださる方に違和感を抱かせないように、まるで本当に存在する歴史の一風景だと思えるような自然な絵を作りたいと思っています。
ヴァイオレットは自動手記人形サービスの仕事で大陸のいろいろな場所を訪れますので、ほぼ毎話数新しい場所が登場します。毎回新しく登場する大陸の風景も楽しみにしていて下さい!

――次回のプレミア上映会は、いよいよ京都です。最後に楽しみに待っているお客さんへメッセージをお願いします。

10月21日(土)の「響け!京都から世界へ編」では、1話に加えて、2話が初公開となりますので、日本の皆さんからどのような反応をいただけるのか楽しみにしております。よろしくお願いします!

AnimagiC 2017

第1話 EUプレミアイベントレポート

8月3日、AnimagiC2017が開催されるドイツ・マンハイムに石立太一監督とTRUEさんが到着。さっそくAnimagiC2017主催者によるウェルカムパーティーに参加した。
翌日は開会式が始まるまでの時間をつかって、石立監督がマンハイム市内を視察。石立監督自ら写真を撮りながら、現地の街並みなどを見てまわった。

そして迎えたイベント2日目となる8月5日。いよいよドイツでのEUプレミアがスタート。開場するやすぐさま会場は満員となり、MCの呼び込みで石立監督、そしてOP主題歌を担当するTRUEさんがステージに登壇。ドイツのファンたちから盛大な拍手が贈られた。石立監督が「EUプレミアということで、ヨーロッパの皆様に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を初めて観ていただけることがとても嬉しいです」。TRUEさんが「『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は、“生きていること”そして“言葉”を大切にしている作品です。今日は1話の上映楽しんでください。Please enjoy!」とコメントし、第1話の上映が始まった。

上映後、大きな拍手と歓声が鳴り響く中、再び石立監督とTRUEさんが登場。監督が「みなさん楽しんでいただけましたでしょうか?」と投げかけると、観客は大きな歓声と拍手で応えた。続いて、石立監督は、制作中の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』への想いについてこう語った。「TVシリーズを通して、世間知らずな主人公のヴァイオレットが成長していく様子を、視聴者の皆さんと一緒に見守っていくような作品になればと思って制作しています」。

さらに主題歌の作詞と歌唱を担当したTRUEさんは「ヴァイオレットは心が未熟で、生まれたばかりの赤ちゃんのような状態です。そんな彼女がひとつひとつ言葉を覚えていくように、私もとても丁寧にひとつひとつの言葉を紡ぎながら作詞をさせていただきました」とコメントした。

続くQ&Aコーナーでは、第1話を観たばかりの観客からの質問に石立監督とTRUEさんが答えていった。
“石立監督がアニメーション監督になったきっかけは?”という質問に対して、「日本って皆さんがびっくりするくらい毎日たくさんのアニメが放送されている国で、小さいころから自然とアニメばかり観ていました。大人になって、どんな仕事をしようかと考えたときに、映像が好きで絵を描くことも好き、そして幼少期からアニメに親しんでいたこともあって自然とアニメーションの仕事をしようと思った」と答えた。

“ヨーロッパ圏をイメージとするような世界観の作品を作ってみていかがですか?”という質問には、石立監督が「これまで京都アニメーションでは、日本を舞台にした作品を多く制作してきましたが、ここドイツのようなヨーロッパ圏をバックグラウンドにしたような作品を作るということはとても難しかったです。今回ドイツ・マンハイムに来させていただいて思ったことは、これまで写真などの資料を参考に制作してきましたが、やはり実際にドイツに来てよかったなと思いました」。

“アニソン歌手になったきっかけ”を訊ねられたTRUEさんは、「監督と同じように私も子どもの頃からずっとアニメが好きで観続けてきました。自分が経験できないようなことアニメは教えてくれるんです。そんなアニメに関わる仕事がしたいと思って、アニソンシンガーになるべく活動してきました。そして、アニソンシンガーとして、AnimagiC2017で歌うことが出来てとても嬉しいです」とコメントした。

“日本でまだ未放送のアニメを、アメリカやドイツで先行上映をした理由は?”という問いに、「世界中の人たちが、日本のアニメーションに興味を持ってくれているということを京都にいても感じています。海外の方にとっては、日本の独特の様式が面白く見えると思うのですが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はヨーロッパ圏をバックグラウンドにした作品なので、海外の方たちが観てわかりやすい、とても入りやすい作品だと思います。だからこそこの作品を世界中の多くの人たちに観てもらいたいと思って、このようなワールドツアーをさせていただきました(石立監督)」

“アニソンを歌う上で気をつけていることは?”という質問に「日本のアニメソングは、地声で張り上げて歌うことが多いんです。作品が持っている力がとても大きいので、それに負けないように、よりボーカルにパワーがのるように歌い上げています(TRUEさん)」と答えた。

惜しまれながらも時間となり観客たちを交えたQ&Aコーナーが終了。続いて、監督とTRUEさんのサイン色紙をかけた、じゃんけん大会が行われ、会場は大盛り上がり。
最後は、会場に来てくれた観客たちと一緒に記念撮影を行い、終始観客たちも石立監督、TRUEさんも笑顔で『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のEUプレミアは大盛況だった。

ワールドツアー石立太一監督インタビュー

ロサンゼルスAnime Expo 2017 編

――いよいよ、TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を先行でご覧いただける世界各国でのプレミア上映会がスタートしました。その第1回目となるアメリカ・ロサンゼルスでの「Anime Expo 2017」はいかがでしたか?

アメリカのコアなアニメファンが集まる大規模なイベントで、数ある作品の中から『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(以下、『ヴァイオレット』)に興味を持って、上映会に足を運んでくださった方々の反応を直接受け取ることができたのは、月並みな表現ではありますがとても貴重な経験でした。お客さんの中には「京都アニメーション」という会社の名前や『ヴァイオレット』の原作文庫を知って下さっている方も多かったですね。

僕はなんとなく日本のアニメ・コミックイベント的なものを想像していたので「大人が多いのかな?」と思っていたら、意外と子ども連れのご家族が多くてびっくりしました。さらに驚いたのは、夜通し何かしらの上映会や催し物をやっていたことです。いい意味でおおらかというか、アメリカらしい自由な感じのイベントでしたね。

――プレミア上映会であるステージイベントではTVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』第1話が上映されましたが、皆さんの反応はいかがでしたか?

アメリカの方は日本人と比べて感情表現が豊かですし「Oh my God!」みたいなもっと賑やかな感じになるのかなと思っていたら、全体的にとても静かですごく映像に集中してくださっていた感じでした。
意外だったのは「そこで笑うんだ!?」と思うようなシーンで手を叩いて笑いが起きていたことです(笑)。「これが違う文化圏の人の反応なのか~」と新鮮でしたね。
また、上映会後にバックステージにいた一人の現地スタッフから「Nice!」とサムアップ頂きまして。その方が立ち去られた後に、また戻ってきて携帯の画面を見せてくれたんです。そこに「本当にいいアニメ」と日本語で書かれたものを見せてくれたのは嬉しかったです。別の現地スタッフの方にも「お前らのイベントは最高だ!」みたいな好意的な反応をいただけたので、たぶん喜んでいただけたのかなと思います。

――プレミア上映会後に、観客の皆さんからの質問にお答えするパネルディスカッションが行われました。印象的な質問はありましたか?

僕と、ヴァイオレット役の石川由依さんと、OPテーマ曲を担当されるTRUEさんの3人が登壇しました。
会場に来られていた方はクリエイターに興味のある人が多いのか、制作に関する質問が多かったですね。
面白かったのは、いきなり「2期はいつからはじまるんですか?」と訊かれたことです(笑)。「まだ1話観たばっかりだけど!?」と思いつつ、「皆さまのご声援があれば……」とお答えしました(笑)。
また、「この物語は架空の大陸が舞台になっているようですが、これからさまざまな国や場所が出てくるのですか?」という、本編をしっかりと観てくださっていることが伝わるってくる質問もいただきました。もしかしたら、原作小説を読んで下さっていたのかも知れませんね。

―― 一緒に登壇されたTRUEさんはオープニング曲「Sincerely」をライブで世界初披露されましたが、お聴きになっていかがでしたか?

ステージの袖でライブを観ていたのですが、やっぱり良かったです。音源として曲を聞いていた時よりもさらに素晴らしい曲だと思いましたし、純粋に「自分ももっと頑張ろう!」と勇気をもらいました。改めて、TRUEさんが曲の中に込められた作品への想いとか姿勢を受け止めて、気が引き締まる思いがして、ライブの後でTRUEさんに「真面目にがんばります!」と思わずお伝えしてしまいました。
歌を聴きながら心の中で「オープニングの絵コンテ、早く書かねば……」と思っていましたが(笑)。

――TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』はどのような切り口で挑まれているのでしょうか?

TVアニメ『ヴァイオレット』は「第5回京都アニメーション大賞」で大賞を受賞した小説が原作です。KAエスマ文庫から上下巻の文庫として刊行されるにあたって、改めて小説としての構成が整えられました。
「京都アニメーション大賞」への応募原稿を読んだ当時から、僕はこの作品に強く惹かれて「いつか映像化できたら」と思っていました。

小説はオムニバスストーリーで、ヴァイオレットと代筆依頼人の関係が章ごとに独立して描かれ、少しずつヴァイオレット自身の過去と身の上が明らかになっていくという構成になっています。小説とアニメではメディアが異なりますし、小説だからこそ活きる表現方法をそのままアニメーションのTVシリーズに適用するのは難しいので、TVシリーズとしてストーリーを構築しています。
続き物のストーリーとして面白い作品にするため、シリーズ構成・脚本の吉田玲子さんとも話し合い、ヴァイオレットという少女の物語を、時系列を整理した形で描くことになりました。

アニメでは「赤ちゃんのように無垢な存在のヴァイオレット」が、人との出会いによって少しずつ大切なことを知っていく姿を描いています。観てくださる方には、幼い自分の娘を見守るような気持ちでヴァイオレットの成長を見届けていただければと思います。

――ヴァイオレットという人物の魅力はどのようなところでしょうか?

プリミティブな人間としての美しさがヴァイオレットの魅力だと思っています。
大人になると多かれ少なかれ人間って歪んでしまうものだと思うんです。社会における責任やさまざまな事情もあって、いつまでも子どものような純粋な気持ちだけではいられないですよね。
でも、いつまでも純粋に「これが美しい」とか「これがやりたい」という理屈抜きの感情をピュアに表現できる人って素敵だなと思いますし、憧れでもあります。ヴァイオレットはそんなプリミティブな状態の人間を肯定するための存在というか、「本来の人間は美しいはず」という理想の姿を描いています。
ありのままの人間が美しいんだと声高に主張したいわけではないのですが、「なんかヴァイオレットみたいな生き方も悪くないよね」と思っていただけたらうれしいですね。

――1話の制作を終え、第1回目のプレミア上映会も無事に終了しましたが、手応えはいかがですか?

手応えは……正直なところ自分では何とも言い難いですね。面白いかどうかは、観てくださった方が判断されることで、僕がどうのこうの言うべきではないのかなと。
制作している身としては「これで面白いと思ってもらえるかな……」とずっと試行錯誤しながら作っているのですが、1話のコンテを描き終えた時点で個人的には「渋い物語だけれど、これは面白くなるぞ!」という手応えがあったんです。その印象は、完成した映像を観てからも変わっていませんでした。制作は楽ではありませんでしたが、美術監督が「満足です」と言ってくれてうれしかったですね。

――劇伴制作はEvan Callさんが手掛けられていますが、どのようなやりとりをされていますか?

音響監督の鶴岡陽太さんから「(Evanさんの作る音楽は)やんちゃだからな~(笑)」という面白い評判をうかがっていました(笑)。ですので、一緒に作品が作れるのを楽しみにしていたんです。Evanさんが制作に入られたのは原作文庫本のCM第2弾からで、音楽プロデューサーからご紹介を受けて、まずは試しにイメージ曲を作っていただくことになりました。具体的なことよりも作品のイメージだけを伝えて、Evanさんの感性にまかせて自由に一曲作っていただいたら、それが作品のイメージにぴったりだったんです。

――どのようなところで、そう感じられましたか?

とても挑戦的だったんです。タイプライターのタイピング音や万年筆と紙が擦れる音などが楽曲の中に取り入れられていて、「試しの一曲」としてはなかなかやらないような表現を堂々と入れられていて、しかもそれがいい感じだったんです。アーティスティックな勢いとセンスを持っている方だと感じました。実際に作っていただいた第1話の劇伴もオーソドックスなものもあれば、ケルトなどの民族音楽的な要素も混ぜたような楽曲もあって、そのど真ん中だけではない絶妙な外し加減と良い違和感が『ヴァイオレット』の世界観に合っていると思いました。

――ヴァイオレット役の石川由依さんは、どのような経緯で決まったのでしょうか?

最初に石川さんの声を聞いたのは、役者として出演されている実写映画でした。素朴な声質が印象に残っていて、まずはオーディションメンバーの一人としてお名前を挙げさせてもらったんですけど、他の方と比べてもやはり石川さんの声がヴァイオレットのイメージに合っているなと。
石川さんは演技力はもちろんですが、現場のディレクションを正確に汲み取れる適応力を持っておられる役者さんで、1話のアフレコの時はこちらのディレクションに素早く対応されていて「さすが!」と思いました。ヴァイオレットの繊細な感情の積み重ねを丁寧に演じてくださっています。

――今まさに2話以降を制作中ですが、いかがでしょうか?

難しい……ですね(苦笑)。1話はヴァイオレットが「0の状態」なのでまだ描きやすかったのですが、彼女はこれから人との出会いによって少しずつ変化していきます。その変化は記号的なものではないし、本当にわずかで繊細なものを観て下さる方にきちんと伝えるにはどうするか……。しかも、制作は複数の話数を並行しながら作って行くので本当に大変です。6話をチェックしていたら、3話について質問が来たりするので。作っている僕たちも各話数ごとに「優しさ5」とか「他人への理解度4」とか、目に見えるヴァイオレットの成長ステータス表が欲しいくらいです(笑)。制作自体は「勝負はまだまだこれから!」という感じです。

――これから「ワールドツアー」のプレミア上映会として、ドイツ、シンガポールなど世界各地で上映が行われます。今回訪れたロサンゼルスの様子についてお話をうかがいたいと思います。
石立監督はロサンゼルスを訪れたのは初めてですか?

はい。そもそも海外へ行くこと自体が高校生の時にタイに行った以来で、今回のために新しいパスポートを取得するところからのスタートでした(笑)。
ロサンゼルス観光を楽しむ余裕はありませんでしたが、空港から車でロサンゼルス・コンベンション・センターに行くまでに、とある映画のシーンにも使われたフリーウェイを通りましたよ。その時はあまりピンとこなかったのですが、日本に帰ってから、その映画の予告を見て「あ!ここ!ここ通った!」とテンション上がりましたね(笑)。
あと、せっかくロスに来ているんだから「ハリウッドサイン」を見たかったんですが、Anime Expoの会場からは少し離れたところにあったみたいで、残念ながら願い叶わずでした……。あと、現地は「Anime Expo2017」のためにロスを訪れていた人が多かったようで、僕が日本人だとわかるとテンション高く、よく声をかけられました……(笑)。

――滞在中に印象的な出来事はありましたか?

ありましたよ! 宿泊していたホテルの玄関付近で僕が「Anime Expo」のパスを首から下げているのを見て関係者だと思ったのか、女性が「Are you Animator?」と話しかけてきたんです。僕も「YES!」と答えて、そこから話が弾んで彼女の娘さんがアニメファンでコスプレイヤーだという話をうかがったりして。1時間くらいでしょうか、しばらく話をしました(笑)。

――言葉は通じたのでしょうか?

残念ながら、僕は英語がほとんど話せないので、会話が通じないことは多々ありました。いや多分言葉はほぼ通じてない。会話が通じない時には彼女が「やれやれ~」という感じで天を仰ぐような時もあったのですが(笑)、その場の空気やジェスチャーなどで、なんとかコミュニケーションをとりながら楽しい時間を過ごせました。アニメを通じて海外の方と自然に話せたのは、とても素敵な思い出になりました。

――次回は、8月4日よりドイツ・マンハイムで開催される「AnimagiC」を訪れます。これからの上映会や2018年1月からの世界配信を心待ちにしているファンの方々へメッセージをお願い致します!

少しでも多くの方に「おもしろい作品だ」と思っていただけるものにするべく、日々スタッフが一丸となって頑張っておりますので、期待をあまり高く持ちすぎずに、しかしやや期待しつつ(笑)。TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をあたたかく見守っていただけると幸いです! よろしくお願いします!

Anime Expo 2017

第1話 ワールドプレミアイベントレポート

2018年1月より放送と世界配信が発表されている、京都アニメーション制作によるアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」。
本作の第1話ワールドプレミア上映が、アメリカのロサンゼルス・コンベンション・センターで開催のAnime Expo 2017にて、現地時間の7月2日(日)14時から行われた。

開場前から長蛇の列ができ、会場は満員となり約3500名が集まった。MCの呼び込みで、監督の石立太一、ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川由依、OP主題歌を担当するTRUEがステージに登壇。アメリカの熱烈なファンたちに大きな拍手で迎えられた。

石立監督「日本の京都からやってきました、監督の石立と言います」
石川さん「Hello, Anime Expo! Thank you. My Name is Yui Ishikawa. I am the leading voice actress of Violet Evergarden.(日本語訳:こんにちは、Anime Expo! 私の名前は石川由依です。ヴァイオレット・エヴァーガーデンを演じています)今日はたくさんの皆さんに上映を観ていただけるのをすごく楽しみにしていました! ぜひ最後まで楽しんでいってください!」
TRUEさん「Hello AX! My name is TRUE. I sing Opening theme song of anime “Violet Evergarden”. I will sing Opening theme song “Sincerely”.(日本語訳:こんにちは、AX! 私の名前はTRUEです。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のOP主題歌を歌っています。この後、OP主題歌の「Sincerely」を歌います!)」

MCの掛け声とともに大歓声があがり、第1話ワールドプレミア上映がスタート。先ほどの大歓声から一転、会場は静まり返り、観客たちは固唾を飲んで映像を見つめ、シーンによっては歓声が湧いた。
上映が終わると同時に、大きな拍手と歓声が贈られ、再び石立監督、石川さん、TRUEさんの3名がステージに上がった。監督から観客へ「みなさん楽しんでいただけましたでしょうか?」と投げかけると、観客は再び大きな歓声と拍手で答えた。

続くQ&Aコーナーでは、MCから「どのような思いでこの作品を作られていますか?」という石立監督への質問があり「ヴァイオレットって赤ちゃんみたいなキャラクターだと思っています。その赤ちゃんが成長していくところを、みんなで見守っていけるような作品になればいいなと」と答えた。また「ヴァイオレットというキャラクターをどのように捉えていますか?」という石川さんへの質問に対しては、「とても無垢な女の子です」とコメント。

また「ロスに来てみていかがですか?」という質問に対しては、石立監督が「京都が蒸し暑いので、こちらはすごくカラッとしていて過ごしやすく、しばらく滞在したいと思っているんですけど……明日帰ります」と笑いを誘った。石川さんは「食事のサイズが大きいことに驚きました。お腹いっぱい食べられて、日本ではあまりできない持ち帰りもできるのですごくいいところだなと思いました」、さらにTRUEさんは「昨日はオフで、メルローズでショッピング、サンタモニカのビーチで遊ぶことができたのですが、楽しかったです」と答えた。

観客からの質問コーナーでは、「京都アニメーションさん、来てくれてありがとう。1話ではどのような印象を残そうと思って作ったのでしょうか?」という質問に対して、石立監督が「ヴァイオレットは、言葉の意味はわかるけど、実感できない。そういうキャラクターなんです。無垢な状態の美しさというものを伝えられたらと思っていて、1話ではそのゼロの状態をお見せしました」と答えた。

LIVEコーナーとなり、TRUEさんがさきほど1話で流れたばかりのOP主題歌「Sincerely」を熱唱。観客もペンライトを振りTRUEさんの歌声に聴き惚れていた。

最後に3人から、会場に来てくれたファンの方たちへそれぞれ挨拶した。
TRUEさん「OP主題歌「Sincerely」を作るにあたって、言葉を伝えるということをすごく考えました。初めて言葉を覚えた頃からたくさんの言葉を覚えてきて、“愛している”や“ありがとう”という言葉があまりに普通になっていたということに気がつきました。でもそういった言葉ってとても大切なんです。こうして皆さんに直接「ありがとう」と伝えることもそうなのですが、このアニメや音楽を通して、そういった言葉がとても大切だということを伝えたいと思います」
石川さん「『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を初めて観てくださった皆さんが、とても温かく迎えてくださって嬉しかったです。素晴らしい映像、音楽、歌に負けないように声優として私も収録を頑張っていきたいと思います。ぜひ親のような気持ちでヴァイオレットのことを見守っていてください。またAnime Expoに来たいと思っているので、応援お願いします!」
最後に、石立監督が「世界で初めて、このAXでこの作品を皆様に観てもらえて良かったなと思います。皆様の期待に応えられるように、この先のエピソードも頑張って制作していきたいと思います。これからもよろしくお願いします」とコメントしワールドプレミアを締めくくった。

ワールドプレミアにて約3500人の大観衆の前での先行上映となった本作は、2018年1月放送、世界配信が予定されている。